2003年に内山章一はルイスポールセンのための新しいデザインを発表しました。薄い複数のシェードが同心円状に層を成す、エニグマペンダントです。モダンでシンプル、独創的なフォルムが光をかたちづくるエニグマは、瞬く間に世界中でベストセラーとなりました。これまで白色のシェードでリリースされていたこのペンダントに、今、スタイリッシュなブラックが加わります。
新しいブラック・ヴァージョンは、これまでのホワイト・ヴァージョンと同様、3つのサイズで展開します。シェード自体の発光を抑制するブラックシェードは、このペンダントが秘める装飾的可能性を広げます。明かりをつけた時と消した時両方の状態で視覚的静けさを生み、インテリア空間に、控えめながら独特の効果をもたらします。エニグマの大胆な彫刻的フォルムが、抑制の効いた眩しさのない柔らかい光を発し、周囲の空間や下方のテーブル面をむらなく照らします。ダイニングテーブルの上には勿論のこと、リビングルームのソファーサイド、廊下、あるいはキッチンやバー・カウンターの上に吊るす照明として理想的です。
内山氏は「新しいブラック・ヴァージョンは、白いフロスト加工のオリジナル・ヴァージョンとは異なるユニークな魅力で、落ち着いたインテリアや白いインテリア空間に最適です」と語ります。また、白いエニグマペンダントと同様、「この宙に浮かんでいるようなシェードは、使う場所と時間、見る角度によって表情が豊かに変わります。ぜひ、さまざまな美しさを感じていただきたいと思っています」と内山氏は話しています。
光を透過させる素材でありながら、どのようにして理想的な配光が実現できたのかについては、「エニグマには、完全にグレア・フリーの新しい素材であるマット仕上げのアクリルを使用することで、理想的な配光が実現できました。メインの光を下方に向けるとともに、シェードの反射光と透過光が上方向、水平方向にも拡散するように設計したのです。細いワイヤーを使い、シェードが空中に浮いているように見せることもできました」と内山氏は説明します。
ルイスポールセンのライティング・フィロソフィーは、ポール・ヘニングセンの唱えた照明デザインの二重性に根ざしています。つまり、モダンとクラシック、シンプルさと複雑さ、伝統と革新、そしてもちろん、影と光。内山章一のエニグマも、こうしたコントラストをうまく利用しています。しかしヘニングセンの多面的なデザインコンセプトを受け入れながらも、内山氏の芸術的で機能的なペンダントは、独自の考えを表現しています。
内山氏は「ポール・ヘニングセンは、最も快適で最も機能的な最高の照明を作ろうと苦心しました」と話します。「わたしも照明にたいしてまったく同じ基礎を持っていました。そしてヘニングセンに共感しつつ自分自身の解釈を育てていきました。つまり、光源の新しい使い方と、光をコントロールする独自の方法を編み出したのです。こうしてエニグマには、新たな特徴と機能的なシェードが備わりました。光源からの光線が各シェードに正確に当たり、どの角度から見てもグレア(眩しさ)は目に入りません。」エニグマの画期的なデザインは、あらゆるシーンをいきいきとさせ、ヒューマンな環境をつくりだします。ブラック・ヴァージョンのエニグマは、2018年10月に発売します。
内山章一(1947-) について
東京出身の内山章一は、1977年に内山章一デザイン事務所を設立、以後グレア・フリーの間接光を用いた照明器具の創造に取り組んでいます。その努力の結果、周囲にある物を美しく見せ、人々にその質感や奥行きを体感させるようなデザインをつくりだしてきました。内山は実際の光源を使った原寸大の模型により、光の強度と色、物体への投影、そして器具の美しさをチェックしています。そしてこの厳格な設計プロセスからは、日本の伝統的なデザインの持つミニマリズムの美を備えた、シンプルで機能的なフォルムが誕生します。内山はこうしたデザインにより、ドイツのiF賞や日本のグッドデザイン賞など数々の賞を受賞しています。
ルイスポールセンについて
1874年に創業したデンマークの照明器具メーカー、ルイスポールセンは、デザインと光の両方を追求した製品を作り続けています。デザインのすべてのディテールが役割を持っており、すべてのデザインは光に始まり、光に終わります。ルイスポールセンは、住宅、建築、ランドスケープのための、屋内と屋外両方の照明ソリューションを世界中で提供しています。ポール・ヘニングセン、アーネ・ヤコブセン、ヴァーナー・パントン、オイヴィン・スロット、アルフレッド・ホーマン、内山章一、佐藤オオキ、ガムフラテーシといったデザイナーやアーキテクトとの密接なパートナーシップによって、ルイスポールセンは世界の照明のトップ・ブランドのひとつとしての地位を築き、コペンハーゲン、ストックホルム、マイアミ、オスロ、ロサンゼルス、東京、デュッセルドルフにショールームを置き、グローバルな事業を行っています。
Press release, August 2018